貸金業について5
正直言って学校を卒業してすぐ就くような仕事ではないと思った。しかし、金に困っている人間のなんと多いことか。金の流れを見れば人生が、世間が見えてくるようにも思えた。何のために金を使うか。パチンコしたいがため、保険の契約を確保したいための立て替え払い。見栄を張りたいための金。子供を学校にやりたいがための金。いろんな方向に金は流れていく。
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正直言って学校を卒業してすぐ就くような仕事ではないと思った。しかし、金に困っている人間のなんと多いことか。金の流れを見れば人生が、世間が見えてくるようにも思えた。何のために金を使うか。パチンコしたいがため、保険の契約を確保したいための立て替え払い。見栄を張りたいための金。子供を学校にやりたいがための金。いろんな方向に金は流れていく。
ロールプレイン
会社の研修で客と取立人になってロールプレイン。あまり熱心にやりすぎて最後にはけんかになったこともあるそうだ。研修に施設を貸したところからもう貸さないと言われたとか。
最初の仕事は電話をかけること。かけてかけてかけまくること。
楽屋裏に通されて思ったのは類は友を呼ぶっていうことだったかな。そんなこと。
何の夢があったわけでもない。ただ、働かなければ食べていけないという現実があった。そこで、何ら能がなくて実入りのいい商売を考えただけ。どうせ日の当たらない人生ならせめて金だけでも。そんな不純な動機であの会社を選んだ。最初あの店に行った時には驚いたよ。受付に豚と狐がならんでいたもの。黄色い服着たのが。目つきはよくなかった。客とおもって「いらっしゃいませ」と迎え入れられたが、疑わしい目つき。最初にきた客はびびるわ。今度から世話になるものですといったら楽屋裏に案内された。
どうしているかねあの女性は、あの男性と結婚して子供もできてというふうになっているのだろうか。金を貸すということは多少なりともその相手の人生に立ち入ることになる。そして、大概は高利貸しの場合は人生の不幸に立ち会うことになる。人の不幸に立ち会う人生もそう幸せでもいられない。
あの小さな町のそれこそ小さな店に不幸なひとがわんさか集まってきた。心臓病を患った子供をもつという母親、ずいぶん年をとっていたがこれから娘を大阪の高校にやる金が必要だといってきた母親、ばあさんじゃないかと最初は思った。実際の年は覚えていない
母子家庭で保険のセールスをしていた女性。立て替え払いで行き詰ったようだ。集金にいったら私立の高校の制服を着た女の子が出てきたっけ。「母は出かけています。」アパートの一室。最後には自己破産した。その昔、この女の子と同じ制服をきた子に恋をしたこともあった。あの女の子も母親もなかなか美人だった。今、あれから25年たつが元気なら40数歳ということなのだ。親のところに借金取りが来ていた。そんな昔と無縁な生活をしていてくれればいいと思う。
そういえば夜集金にいけばいつも母親不在で、女の子が封筒にいれた金をわたしてくれた。その家は農家のつくりで、吠えない年老いた犬と女の子がいつもいた。一匹とひとりが。父親の姿はみたこともない。女の子は小学3年生。あるときいったときは女の子は炬燵に入ったまま炬燵のテーブルにうつぶせになったまま寝入っていた。たった一人で寒い夜を過ごさなければならない。いつまで母親をまっていたのだろうか。母親は飲食店に勤めていた。あるいは経営者だったか。母親の借金なのか、家の借金なのか、生活苦からか、パチンコでもはまってしまったのかそれは知らない。あの時の女の子もなんだか訳もわからなかっただろうが、今は昔、借金取りが家に来ていたことを思い出すこともあるだろう。借金取りはおれだけじゃない。他に3人はいただろう。おれが辞めたあといつまで続いたことだろう。あの子もいまでは30半ば、子供は親の経済力に支配される。あの犬は当然死んでいる。
金融会社に勤めて最初に金を貸したのは女だった。30万円、日歩13銭のころの話。とんでもない高利だ。年率47.45%、行き詰まるのは目に見えている。2回か3回の返済ののち、滞る。化粧品のセールスが商売だった。アパートに電話をかける。出ない。何度も電話するが、コールのみ、訪問する。留守、カーテンがかかっていない部屋。電話だけがのこっている。家族、親戚全部あたれるとことrはすべてあたった。あっちのほうにいるらしいという親戚のはなしから、あっちのほうを当たる。アパート1件1件調べた。目星をつけた部屋をあたる。表札は男の名前。でてきたのもおとこ。このひとに心当たりはないか聞けば、素直に一緒にいるという。用件を言えば、明日まで待ってくれという。半信半疑、再訪すると、すべて完済。元利計40万は超えていた。今もってなぜあの部屋と思ったのかよくわからない。不思議なこともあるものだ。女は化粧すればかくれたが、顔におおきなあざのある女だった。
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