どうしているかねあの女性は、あの男性と結婚して子供もできてというふうになっているのだろうか。金を貸すということは多少なりともその相手の人生に立ち入ることになる。そして、大概は高利貸しの場合は人生の不幸に立ち会うことになる。人の不幸に立ち会う人生もそう幸せでもいられない。
あの小さな町のそれこそ小さな店に不幸なひとがわんさか集まってきた。心臓病を患った子供をもつという母親、ずいぶん年をとっていたがこれから娘を大阪の高校にやる金が必要だといってきた母親、ばあさんじゃないかと最初は思った。実際の年は覚えていない
母子家庭で保険のセールスをしていた女性。立て替え払いで行き詰ったようだ。集金にいったら私立の高校の制服を着た女の子が出てきたっけ。「母は出かけています。」アパートの一室。最後には自己破産した。その昔、この女の子と同じ制服をきた子に恋をしたこともあった。あの女の子も母親もなかなか美人だった。今、あれから25年たつが元気なら40数歳ということなのだ。親のところに借金取りが来ていた。そんな昔と無縁な生活をしていてくれればいいと思う。
そういえば夜集金にいけばいつも母親不在で、女の子が封筒にいれた金をわたしてくれた。その家は農家のつくりで、吠えない年老いた犬と女の子がいつもいた。一匹とひとりが。父親の姿はみたこともない。女の子は小学3年生。あるときいったときは女の子は炬燵に入ったまま炬燵のテーブルにうつぶせになったまま寝入っていた。たった一人で寒い夜を過ごさなければならない。いつまで母親をまっていたのだろうか。母親は飲食店に勤めていた。あるいは経営者だったか。母親の借金なのか、家の借金なのか、生活苦からか、パチンコでもはまってしまったのかそれは知らない。あの時の女の子もなんだか訳もわからなかっただろうが、今は昔、借金取りが家に来ていたことを思い出すこともあるだろう。借金取りはおれだけじゃない。他に3人はいただろう。おれが辞めたあといつまで続いたことだろう。あの子もいまでは30半ば、子供は親の経済力に支配される。あの犬は当然死んでいる。
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